写真撮影を商売にする時に、スタジオではなく出張撮影というスタイルを選ぶ理由は色々あると思います。
●初期投資、家賃が要らない
最低限の機材だけあれば始められる商売です。(だから参入しやすくて、ライバルはいっぱい。苦笑。)
●お客様にスタジオまでの移動の負担をかけない
これは、特にニューボーンフォトやマタニティーフォト、ご病気や年配の方の撮影に見られる理由だと思います。
●スタジオでは撮れない、開放感と季節感のある美しいロケーションにこだわれる
緊張もしにくいし、美しい背景が期待できるし、ここに魅かれるお客様も多いのでは。
でも私がいちばん大切にしている理由は少し違うところにもあって、
●お客様にとって意味のある場所で撮ることができる
これが圧倒的に大きいのです。
そしてこの撮影を可能にしている技術として、出版社時代からこれまでに紙媒体の取材撮影で培った、
初見のどんな場所でもどんなに時間がなくても(ストップウォッチ片手に時間を計られながらでも!)、
どんなにタレントさんの機嫌が悪くても(笑)、
全国紙、全国誌に載せられるレベルの写真を撮らなければならなかった、現場対応力があるのだと思います。
「意味のある場所=撮影に適した場所ではない」ことが多いけれど、
それでもどうにかして写真として美しくまとめてみせる。
それも、余分な物を排除する方向にではなく、なるべくたくさんの情報を入れながら。
そこにある物だけで。
そこに私の強みがあると思っています。
「そうは言っても、我が家は狭いし、散らかってるし…」
「カメラマンさんにお見せできるような絵になる場所でもないんだけど…」
など、呼ぶ側にとってハードルが高いのは重々承知なのですが(これだけ言ってる私でさえ、自分が撮られる側に回ればちょっとそう思います)、
思い切って体験された方は皆さん「ここで撮ってもらってよかった」と言ってくださいます。
そしてその思いは、10年後、20年後にはさらに強くなるであろうと、私は確信しています。
皆さんの日常は、見過ごしているだけで、実は美しさに溢れています。
そのことに、写真の力で気づかせてあげたい。
そうすれば、世の中がちょっとだけ明るくなるような気がするのです。