私が出張撮影にこだわる理由
業界誌『スタジオNOW』で取り上げていただきました
写真業界誌『スタジオNOW 2018年11月号』で2ページに渡り山本ミニ子を取り上げていただきました。
カメラマンとして取材を受けたことは何度かありますが、大抵は写真のプロではない方による一般の方向けの記事用のもので、どうしても
業界代表のような顔をして受けることになり、インタビューには気恥ずかしさがありました。
その点、今回はカメラマンやスタジオばかりを取材している業界誌のインタビュー。
「出張撮影で光り輝く女性フォトグラファー特集」ということで、私の他にも7名の女性フォトグラファーが取材されており、その中には私が普段から尊敬しているお仲間もいたりして、純粋に私のこだわりをプロ向けにぶつけることのできた、大変楽しい取材でした。
これまでにない専門的な目線で聞いていただけたように思います。
取材撮影経験と、現場を活かす力
一口にファミリーフォトのカメラマンと言っても色々な経歴で色々なスタイルで色々なポリシーを持って活動しています。
にちにち寫眞(にちにちしゃしん)の何が他と違うのかに焦点を絞って専門家目線で聞いていただけたので、私にとっても自分の個性や強みを再認識させていただくいい機会になりました。
記事では大まかにいうと、
●現場対応力として、出版社時代の豊富な取材撮影経験が活かされているということ
●日常シーンや、被写体にとって意味のある場所や物を写すのを大切にしていること
を特徴としてまとめていただいています。
どうして出張撮影なのか
写真撮影を商売にする時に、スタジオではなく出張撮影というスタイルを選ぶ理由は色々あると思います。
●初期投資、家賃が要らない
最低限の機材だけあれば始められる商売です。(だから参入しやすくて、ライバルはいっぱい。苦笑。)
●お客様にスタジオまでの移動の負担をかけない
これは、特にニューボーンフォトやマタニティーフォト、ご病気や年配の方の撮影に見られる理由だと思います。
●スタジオでは撮れない、開放感と季節感のある美しいロケーションにこだわれる
緊張もしにくいし、美しい背景が期待できるし、ここに魅かれるお客様も多いのでは。
でも私がいちばん大切にしている理由は少し違うところにもあって、
●お客様にとって意味のある場所で撮ることができる
これが圧倒的に大きいのです。
そしてこの撮影を可能にしている技術として、出版社時代からこれまでに紙媒体の取材撮影で培った、
初見のどんな場所でもどんなに時間がなくても(ストップウォッチ片手に時間を計られながらでも!)、
どんなにタレントさんの機嫌が悪くても(笑)、
全国紙、全国誌に載せられるレベルの写真を撮らなければならなかった、現場対応力があるのだと思います。
「意味のある場所=撮影に適した場所ではない」ことが多いけれど、
それでもどうにかして写真として美しくまとめてみせる。
それも、余分な物を排除する方向にではなく、なるべくたくさんの情報を入れながら。
そこにある物だけで。
そこに私の強みがあると思っています。
「そうは言っても、我が家は狭いし、散らかってるし…」
「カメラマンさんにお見せできるような絵になる場所でもないんだけど…」
など、呼ぶ側にとってハードルが高いのは重々承知なのですが(これだけ言ってる私でさえ、自分が撮られる側に回ればちょっとそう思います)、
思い切って体験された方は皆さん「ここで撮ってもらってよかった」と言ってくださいます。
そしてその思いは、10年後、20年後にはさらに強くなるであろうと、私は確信しています。
皆さんの日常は、見過ごしているだけで、実は美しさに溢れています。
そのことに、写真の力で気づかせてあげたい。
そうすれば、世の中がちょっとだけ明るくなるような気がするのです。