他人だから撮れる写真もある 小学生の日常撮影@東京都多摩市
こんにちは。
にちにち寫眞(にちにちしゃしん)フォトグラファーの山本ミニ子です。
6月に入りましたね。
今日から子どもたちは保育園と学童、学校にそれぞれ通い出し、夫は在宅勤務から新しい部署へ異動、毎日出勤です。
私はというと、家族の濃密な時間が終わってしまう寂しさと、夫に代わって今日から毎日ご飯を作らなくてはいけないという憂鬱と、
さっそく毎日撮影が入っていることへの嬉しい気持ちと早く勘を取り戻したいという気持ちが入り混じっています。
これから少しずつ元の日常に戻っていくとは思うのですが、この期間に得たものは変わらず大切にしていきたいです。
そう、ブログを書く習慣とか。
少し間が空きましたが、日常撮影紹介強化週間シリーズ第4弾は、小学生の兄妹の日常記録です。
10代の写真、撮ってますか?
家族写真のご依頼というと、圧倒的に赤ちゃん、1歳お誕生日、入学記念、七五三ぐらいまでで、
そのあとはぱったり撮らなくなる…
次に撮るのは成人式か、結婚式かな…
というご家庭は多いです。
どうしてなのでしょうか。
それぞれに自分の世界ができていて、家族の予定が合わない。
小さい時ほど成長の変化が感じられない。
節目となるような行事がない。
写真を嫌がるようになった。
色々と理由はあると思います。
でも、万難を排してぜひ時々撮っておいてほしいんです、10代の姿も。
今回は、お兄ちゃんが6年生になるタイミングで、残りわずかとなったランドセル姿と日常を残したいというご依頼のご紹介です。
それでは、はじまりはじまり。
最後のランドセル姿を残したい、はずだったのだけれど。
昨年の桜の季節、ペールブルーの壁がおしゃれなこちらのお宅へ。
そこには何やらパソコンの画面に釘付けの小学生の兄妹の姿が。
実はこのママさんも素敵な写真を撮るフォトグラファー。
私が年に何度かファミレスで写真談義に花を咲かせるいつのもメンバー「いつメン」の仲間でもあります。
チャーミングでユーモアがありながら底抜けにネガティブという彼女が私は大好きなのです。
さて、本日の主役は、このお兄ちゃん。
新6年生の春休み、学校までの通学路と、先生に許可を取った教室でのポートレートを撮らせてもらおうというママの計画があるのです。
早速、出発です。
おやおや、ちょっとお兄ちゃん、離れてきました。
もうこの道幅では私の広角レンズの画角をもってしてもギリギリの離れ具合です。
照れているのかしら。
ついに、距離はこんな感じに。(見えますかね??)
寄り道かな?
と思ったら、えっ、ちょっとちょっと、全然逆方向なんですが!そちらは!!
みんなで追いかけて捜索したところ、お家に帰ってました…
お庭での、ママによる説得タイム。
こういう時、私はひとまず、待つことにしています。
ポートレート撮影や集合写真、記念写真の場面では、
それはもう、一生懸命場を盛り上げて気持ちよく写ってもらえるよう積極的に働きかけますが、
今回はドキュメンタリー撮影。成り行きに任せた結果起こることを撮りたい。
その家族なりの解決法があると思うので、できるだけ邪魔したくないと思っています。
もちろん、ご家族の判断で、私に助けてほしいという場合は、説得にご協力します!!
ひとまずお家に入ることに。何やら交渉中。
お、みんな笑顔です。
映画を観に行く約束を取り付けたようです!
さあ、では気を取り直して…
やっぱり行きたくないそうです…
もうこれ以上は無理そう、という判断で、学校にキャンセルの電話をかけるママ。
さあ、今からどうしようね。
お兄ちゃんは雑誌を読み始めました。
女子チームはゲームでもしますか。
雑誌を読むお兄ちゃん。
おやつを食べる女子チーム。
雑誌を読むお兄ちゃん。
トランプに興じる女子チーム。
と、雑誌を読むお兄ちゃん。
と、ここで
「指貸して」と妹ちゃん。
どうやらパソコンのパスワードを解除してほしい模様。
ゲームの実況動画、小学生はみんな大好きよね。
我が家もこの約1年後、実感することになります…
これにはついにお兄ちゃんも、仲間に入りたくなったようです!
そうこうしているうちに、お昼ご飯のピザが届きました。
映画でも観ながら、食べるとしましょう。
こんなはずではなかった…と思っていそうなママの姿も残しておきましょう。
なんだかんだで、二人とも甘えん坊なのね。
やっぱり雑誌は読むけどね。
記念写真もお撮りして。
日常撮影、終了です。
スライドショーはこちら。
「子ども写真」か「家族写真」か。他人だから撮れる写真もあるということ。
先日インスタグラムのストーリーズに寄せていただいた質問に、
「思春期の子どもたちがカメラを向けると逃げます。今の姿も残したいのですが、どうしたらいいですか?」というものがありました。
私は、小さい頃と同じようには撮らなくていいんじゃないかな、と思っています。
写りたくない気持ち、撮影に参加したくない気持ち、他のことに集中したい気持ちもある程度尊重しながら、その時のそのままの姿が残せたらいいように思うのです。
家族全員が揃うような場面や、お祝い事の席では、仏頂面でも下を向いていても後ろを向いていてもお願いして1枚だけでも入ってもらえば、
「この時は写真を嫌がっていたんだよね」という記録になるし、それはそれで十分です。
親御さんが撮る日常の姿は、信頼関係があるならたまに隠し撮りを残すのでもいいのではと思います。
それから、親に撮られるのは嫌だけど、他人のカメラになら素直に写ってくれるという場合も多いです。
家族以外の誰かや、プロカメラマンを呼んで撮ってもらうのも手だと思います。
「親にしか撮れない写真」は確実にあるのですが、「他人にしか撮れない写真」もまた、あると思っているのです。
(中学生のいるご家族を撮影した時の記事も過去にありますので、ご参考にどうぞ。
こちらでは、つい最近までひどい反抗期だったというお兄ちゃんがポートレート撮影にも応じてくれている様子が残っています。)
今回は依頼主のママさんがフォトグラファーで普段からお子さんの写真を素敵に撮られているので、
インスタグラムのご質問のケースとは全然違うのですが、
せっかく呼んでもらっているのだから、「親には撮れない写真」をより多く撮ってあげたいと思って臨んだことに変わりはありません。
私は自分を仕事として「子ども写真を撮る人」と思ったことはなくて、あくまでも「家族写真を撮る人」だと思っています。
それは「子どもの写真」は頑張れば親御さんでも撮れるし、むしろそちらの方がいい場合もあると思っているからなんです。
もちろん、技術的に難しい親御さんに成り代わって「親目線」のお子さんを撮って差し上げることもプロとしての使命だと思っていますし、
以前にも「他人に家族を撮ってもらうということ」という記事で書いたことがあるように、
写真には癖があるので上手な親御さんでも我が子を撮る写真はいつも同じような表情やシーンになりがちでそれはもったいないという思いもあり、
私なりの「子ども写真」も撮るには撮るのですが、実はそちらはメインではないのですよね。
どちらかというと、その家族を外側から見た目線をより大切にしていて、
家族同士の関係性が読み取れるようなシーンを拾っていくこと、
その日の出来事をストーリーとして残すことに注力しています。
納品後、依頼主の彼女からは
「あんなに謎な時間だったのにしっかりと記録されててさすが!! 私と子どもたちが一緒に生きた証が残ってるのが嬉しい。」
と言ってもらえました。
「撮れる人」からの依頼は緊張しないというと嘘になるのですが、
「その人自身では絶対に撮れない写真」を提供できている限りは、必ず喜んでいただけると信じてシャッターを押しています。
だからこそ、私のところにはプロのフォトグラファーやご自身でも上手にお子さんの写真を撮れる方が来てくださることが多いのかなぁと思っているのですが、どうなのでしょうね。
我が子の「子ども写真」に自信がある人もない人も、
我が家の「家族写真」を残す機会を、ぜひ作ってみてくださいね。