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2020-03-08

「頑張る写真」と「頑張らない写真」について

クリエイター向け情報サイトでコラムを書きました

お久しぶりの山本ミニ子です。

今年の抱負など書こうかな、と思っていたら正月は明け、旧正月も過ぎ、気がつけば3月です。

閑散期のはずの1、2月もどういうわけかたくさんご依頼をいただき、

秋からの撮影分のアルバム編集などが最近になってようやく落ち着いてきたところです。

 

そんな中、もう2ヶ月も前の話になってしまうのですが、

クリエイター向けの情報サイト「Japan Creators」でリレーコラムなるものを担当させていただきました。

「女子フォトグラファーの眼差し」という、おそらくもう6年ぐらい続くロング連載で、

執筆者が次のフォトグラファーを指名していく企画ページです。

私は敬愛する友人ナガシマアサコちゃんからバトンを受け取ったのですが、

バックナンバーには日本の広告界や雑誌や写真集、賞レースで活躍する錚々たる面々が名を連ねており、

私でいいのか…!?と恐縮しながらなんとか執筆を終え、

同い年ながらかつてのバイト先の上司、確立した世界観が大好きな榊水麗さんにバトンを渡しました。

 

「仕事以外のパーソナルショットで」というお題に、何をテーマにするか悩みました。

仕事では使わない大好きなレンズで撮ったお散歩エッセイにしようか、

常々感じている、「美しいものを撮るのは面倒くさい」について写真論を書こうか、

なぜ「幼馴染」という関係性の被写体に憧れるのか、自分の過去と絡めて書こうか…

 

とか色々考えたのですが、

 

今回山本友来ではなく、にちにち寫眞の活動名「山本ミニ子」としてお題をいただいたので、

やはりここは、家族写真の範疇で書こうと思い、

毎月プライベートで撮っている「マンスリーフォト」の舞台裏というテーマで書くことにしました。

 

記事はこちら

 

記事でも触れたのですが、

我が家のマンスリーフォト、インスタグラムに時々載せていて、それを真似したいというお客様がとっても多くいらっしゃいます。

撮影でご自宅に伺った際に、「あの白背景の正面写真、我が家でも上手に撮れますか?」とよく聞かれるので、

そんな時はそのお宅の光の入り方やスペースなどをみて、最適な場所やセッティングを簡単にレクチャーもしています。

でも、成功するかどうかは、実は設定や技術以上に、「粘り強さ」にかかっていると思うのです。

 

 

我が子の写真は”頑張れない”

 

多くの子持ちフォトグラファーが口を揃えることの一つに、

「自分の子の写真って、頑張れないよね」ということがあります。

ここでいう、「頑張る写真」というのは、いわゆるインスタ映え写真というか、パッと一目で見て素敵!キラキラ!おしゃれ!完成度高っ!となる写真のことです。

我々プロとして家族写真を撮っているフォトグラファーは普段、よそ様のお子さんを、それはもう、粘り強く粘り強く撮ります。

期待されてお金をいただいている以上、何が何でもその期待に応える責任があるからです。

私自身は「笑顔の写真こそ最高」「絵になる写真こそ至高」とは全く思わないタイプのフォトグラファーなのですが、

それでも撮ってすぐに見て嬉しく、SNSに上げて誇らしいのは「映える写真」だと思いますし、そういう写真も絶対撮ってあげたい。

求められれば絶対に撮れるまで撮りますし、実際に撮影中、一枚も笑顔の写真や飾れるような写真を撮れずに終わったことは一度もありません。

 

でも、自分の子どもだったら、そこまで粘れないのですよ。

仕事であれば撮ることだけに集中できますが、

我が子の前ではフォトグラファーである前に親なので、お互いに気が散ります。甘えも出ます。

もうこれぐらいでいいか。また今度でいいか。それよりあれをやらなくちゃ。

 

しかし親が日常的に撮る写真というのは、そんなのでいいと思うのです。

親にしか撮れない写真というのはあって、それはおしゃれでなくても整っていなくても素敵なことが多いです。

案外「頑張って撮ってインスタで褒められた写真」より、日常の中で適当に撮った写真の方が後々大切に思えてくるということもあるものです。

私も、ふとした時に見返してふふふっとなるのはスマホで撮ったブレブレの写真だったりします。

 

そう考えてみると、私が自分で「頑張って」撮っている我が子の写真は、このマンスリーフォトシリーズだけかもしれません。

(部屋に飾ってる写真はほぼ、年に何回か信頼できるプロに頑張って撮ってもらってるやつです。)

イヤイヤ期でもおふざけ期でも必ず白バックで正面向きでカメラに目線をもらうために、私、相当頑張ってます!笑

それこそ仕事の時のような粘り強さがないと撮れません。

月に1回、このシリーズを撮る時だけは、保護者としてよりも撮影者としての覚悟を強く持って挑みます。

そこまでして大変なマンスリーフォトを頑張るのは、やはりマンスリーフォトには頑張るだけの価値があると思っているからなのです。

 

皆さんも、お子さんの写真を撮る時、いつもいつも頑張らなくていいと思います。

でも、ここぞという時には思いっきりこだわって撮ってみるのも本当に楽しいことです。

どんな写真の時に頑張りたいかは人それぞれ。

私のように月齢フォトかもしれないし、年に1回の年賀状用写真かもしれないし、ハロウィンのコスプレ写真かもしれないし、一生に一度の晴れ舞台での1枚かもしれません。

もし「頑張る写真」を自分で撮れる自信がなかったら、迷わずプロカメラマンを呼んでみましょう。

「頑張る写真」が上手いフォトグラファーは今の日本にはたくさんいます。

 

ですが、せっかくならば、言わせていただきたい。

私は「頑張る写真」も「頑張らない写真」も得意なフォトグラファーです!

一目見て素敵な絵になる写真も、時間が経ってからじわじわ価値がわかる何気ない写真も、一度の撮影で必ず両方お撮りしています。

今年こそはそんな数々の名シーンを、ブログでも過去にも遡ってたくさんご紹介していく予定です。

 

2020年もたくさんのご家族に出会えますように!(もう3月ですが!)

 

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